真っ黒な海の上で

 

つかの間の夏休みで

一泊2日、大島へ旅行に行きます。

 

夜の23:00に竹芝ターミナルから船が出て、
いまはらゆらゆら、海の上で揺られています。

 

f:id:arakawayuriko:20170804005023j:image

 

わたしはずっと海を見るのが怖かった。


正確には、海だけじゃなくて川や湖も怖かった。そこはわたしの大切な先輩が、先生が、友達が死んだ場所で、もっともっとたくさんの人が死んだ場所でもある。


真っ暗な海が街の灯りに照らされてゆらゆら動く。

そんなものを眺めても、わたしの中のどうしようもない気持ちをぶり返させるだけで、

ああ、やっぱり何年経っても辛いものだなと痛感した。

 

 

 


自分にとって大切な人が

 

必要な人が自分より先にいなくなるのは耐え難い。

 

 

 


みんなみんなそうだった。
わたしは彼らに執着してた。だってわたしより何倍も美しい人たちだった、わたしより何倍も生きる必要のある人たちだった。自分の弱さを補完するためにずっと眺めていたかった。

 


今日一緒に船に乗っている人にふと、知人が何人か水死しているという話をしたら

 

「どこもすごく穏やかな場所じゃない。そんなところて死ぬなんて、一体なにがあったんだろうな…」

 

と言っていた。

 


そうなんだ。
みんな、あんな穏やかな場所でどんなふうに死んでいったんだろう?

 

 

美しい季節 美しい時間 美しい水の景色 美しい人たち

 

全ての美しいものたちが渾然一体となって蒸発するように消えて行く。

 


わたしにとって死はそういうものだった。昔も今も。

 


-----

 

 

6月、夫の単身赴任先の住まいでわたしは一人になることがあり

一人でただ何時間も泣いていた、何日も何日も。

 

いつも着ている着物には紐がたくさんある。その紐のなかの1つをふと手にとって

思い切り自分の首を絞めていた。泣きながら何度も何度も。

 


何度もむせかえってよく分かった。こうやって死ぬのは容易じゃないということが。

 


自分にとって大切な人が自分より先にいなくなるのは耐え難い。

 


だけどその堪え難さから解放されるにはもっと思い切りこの紐を絞めなければ…

 

 

だけどわたしにはできない。いつも何メートルか先にいる自分に嘲笑されて腹がたつから。

 

 


未だ生きていてくれてるわたしの大切な人たち、

 

今日は幸せな1日でしたか?
苦しいことはありませんでしたか?
明日目覚めることが辛くないですか?

 


あなたが幸せだったらわたしはほんとうに嬉しい。
あなたが幸せでなかったなら、わたしは今すぐあなたの元に駆け寄って手を握っていたい。

 

でも現実世界のわたしには、夜に思い立って走り出せるだけの身軽さがないし


「ここにいなければいけない」という現実に縛り付けられてあなたの元に行けない。

 

 


だからただ願うのでした。
あなたの今日が幸せであったことを。
あなたの明日がきっと幸せであることを。

 

 

 f:id:arakawayuriko:20170804005734j:image

 


もうすっかり空と海は黒に塗り尽くされた。

 

 

さあ眠るか。

 

 

どうせ首を絞めたって死ねないし

 

 

大切な人の幸せを願うという行為だけで、わたしの明日は幸せであるに違いないのだから。