まぼろしを引き寄せて

 

娘がいる夢をみた。

 

その子は生まれた次の日に歩いて言葉を話し動き回っていた。

 

だけど彼女には痛覚がないので

自分で自分の指を切り落としてしまった。

 

わたしはそれをみて延々となきながら、

「それでもあなたは本当に可愛い」

と言い続ける。

 

狂った世界で幸せに暮らすわたしと娘。

 

これは現実での話だが、

わたしは一時期娘を産みたいと思っていて名前も考えていた。

 

わたしの存在しない娘の名前は藍子という。

 

多分これからも産まれることはない子供。

 

だけどわたしの中にずっと存在している子供。

 

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わたしが過去に自分が大切にしていたもの

 

大切にしていた気持ち 大切にしていた人

 

この現実でわたしが愛しわたしを愛してくれたあらゆるもの。

 

どんなに大切だと感じていても眠って目が覚めたら

 

なぜあんなに大切だったか分からなくなっている。

 

過去の記憶をなぞれば、

なぜ大切に思っていたのか理解はできる

 

でもそのときの想いは二度と現れず

 

わたしは現実から乖離して何度も大切なものを求めなおす。

 

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わたしの存在しない娘も

 

あんなに焦がれていたのに一度も触れることがなかったあの人も

 

存在していないから毎日思い出す。

一日に何度もその存在をなぞる、愛しくてたまらない。

 

存在していない彼女たちは

 

絶対に現実に関与してこない。だからこんなに愛しいんだ。

 

わたしは今日も現実を剥ぎ取って

 

出会えない彼女たちを想って幸せに生きていた。